「御言葉預言」は聖書的か? その2
前回は聖書以外の観点で「御言葉預言」を考えましたが、この記事では聖書的にどうかという観点で考えます。
4)聖書の教え
以下の箇所を尺度に、「御言葉預言」が聖書的な方法かどうかを判断したいと思います。
ローマ12:2
あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。(新共同訳)
参考文献:
The Epistle of the Romans (Douglas Moo)
Romans (Thomas Schreiner)
①世/アイオン
クリスチャンは肉体的には地上でこの時代を過ごしていても、内的には「次に来る世」のいのちを持っているので、「この世」に乗じた考え方をするのではなく、「次に来る世」を基準にした新しい考え方、価値観、倫理観に立つよう勧められている。
②「自分を変えていただきなさい」
参考文献(ムー)によれば、「ローマ7:6の御霊によって考える」という意味合いを持っており、「生涯を通して自分の考え方を神の考え方に近づけていくプロセスであり、一夜になるものではない」と述べられています。
④心(思い)
⑤わきまえ知る
「試す」「試験をする」「詳しく調べる」「証明する」などの意味の言葉で、「(何かを)試してみて、本当にそうかどうかを認識する」という意味。「善いこと」「完全なこと」「神の御心」は、そのような慎重さがなければ知ることはできない。
ESVという英語聖書は、次のように訳しています。
Do not be conformed to this world, but be transformed by the renewal of your mind, that by testing you may discern what is the will of God, what is good and acceptable and perfect.
訳
この世と一致してはなりません。思いの一新により変えていただきなさい。試験することにより、何が神の意志であり、何が善であって受け入れられ、完全であるかをあなたがたが識別するためです。
⑥聖書の判断方法(ローマ12:2のまとめ)
私たちは御霊がもたらした新しいいのちに従って、「次に来る世」的な考え方をすべきだということです。また理性や知性、良識を駆使しつつ、生涯をかけて思いを神の考え方に近づけていく必要があるということです。そして、本当にそうかどうか確かめながら判断するときに、神の御心がわかってくる、というようなことをパウロは説いています。
●「神のかたち」としての判断
神を愛するための神学講座Ⅱ:http://d.hatena.ne.jp/koumiboxy/20151022/1445496439
先生は記事の中で、「神のかたち」について以下のよう述べています。
人は本来、「神のかたち」において造られた尊い存在です。私たちは、先に「神のかたち」とは、①まずコロサイ書1章15節から三位一体の第二位格である御子を意味していることであると学びました。②次に、コロサイ書とエペソ書から、「神のかたち」とは知と義と聖つまり、知性と道徳性と宗教性であることを学びました。③さらに、「神のかたち」とは三位一体の神のように互いに愛する存在であるということを先に学びました。
(引用終わり、強調はダビデ)
「神のかたち」として御心の判断をすることは、
「御子らしさ」+「知と義と聖と愛」によって御心が何かを判断する、
ということになり、
「神のかたち」に近づくに比例して正確になる、と言えそうです。
つまり、御心を知ることは方法論だけでは無理なことで、
神をどれほど深く知っているか、
自分の中で「神のかたち」がどの程度まで回復されているか、
が関係してくるということです。
●まとめ
聖書によれば、御心を知ることは必ずしも方法論だけでは無理なことで、生涯をかけて「神のかたち」が回復されていくことに大きなポイントがある、ということです。
「御言葉預言」は公式のような方法論であるという点で、聖書的とは言えません。
その方法の部分にも占い的な要素が見られ、非聖書的と言えます。
構造的に見ても、わざわざ精度を落とすやり方で、とてもお薦めできません。
「御言葉預言」を実践している人たちには、ぜひ考え直していただきたいところです。
●追記
「御言葉預言」の考案者は「アットホームチャーチ」の牧師夫人である砂川和美さんのようです。参考サイト:https://ameblo.jp/athomechurch/entry-12189767508.html
聖書を占いのような形で使うことは間違っています。霊的な混乱をきたす恐れがありますので、「御言葉預言」の実践は止めましょう。
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