トランスジェンダーと脳の性差
私ダビデは、同性愛(バイセクシャルも含む)は罪の結果による現象だと考えていますが、トランスジェンダー(性同一性障害)、特にクリスチャン・トランスジェンダーの場合は、病(障害)の結果による現象ではないかと考えています。
この記事では、この説について考えてみたいと思います。
ヨハネ9:1~3
弟子たちは彼についてイエスに質問して言った。「先生。彼が盲目に生まれついたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか。その両親ですか。」
●心理学者の考え
Psychologists and researchers don’t know what causes gender dysphoria. The most popular theory among those who publish on this topic is the brain-sex theory.
心理学者や研究者には、性別違和の原因がわかっていません。性別違和の書籍の著者たちの間でもっとも多い見解は、脳性差説です。
引用元:マーク・ヤーハウス「トランスジェンダー現象に関する理解」
●脳の性差
新井さんという研究者が脳の性差について、次のように言っています。
新井康允(あらいやすまさ)
引用元(PDF):「脳の性差はいかに決定されるか」新井康允 2005年6月
Q:生物として見たとき、ヒトの脳の性差について妥当な考え方と言えるのでしょうか。
結論から言えば、生まれたばかりの赤ちゃんの脳にも性差があります。もちろん生まれてからの社会的なインプットによってさらに形成されていく性差はあるでしょうし、平等という理想を求めるのが人間だと思いますが、生物としてのヒトの脳を科学的にとらえれば、生来的な性差をゼロと見なすことはできません。
Q:そのような脳の性差はいつ、どのようなかたちで生じるのでしょうか。
精巣ができると、そこから分泌される2種類のホルモンによって、脳や身体の男性化が進みます。・・・母体の男の胎児の場合、血中のアンドロゲン(男性ホルモン)を調べると、妊娠16週あたりをピークに受精後の12~22週目に精巣から大量のアントゲロゲンが分泌されることが分かっていますから、そのタイミングで、内・外性器だけでなく、脳も男性化するのではないかと思われます。
Q:生来的な脳の性差による行動の違いは科学的に実証されているでしょうか。
これはウィスコンシン大学のゴイらのアカゲザルの実験ですが、仔ザルの遊びのパターンには性差があります。・・・妊娠中のサルに男性ホルモンを注射してみたところ、生まれてきた雌のサルは、遊び方が雄のパターンになったという報告がなされています。
Q:人間についても同様のことが言えるのでしょうか。
男の子は活発で無鉄砲なところがあって、攻撃性が強い。・・・それが脳の性差によるものであることを示唆するのが先天性副腎皮質過形成という病気のケースです。これは遺伝的な問題から副腎皮質ホルモンを合成する酵素が欠け、副腎皮質ホルモンが分泌されず、その代わり副腎性アンドロゲンだけが異常に大量に分泌されるという病気なのですが、女の胎児に発症すると、生まれてくる女の子の外性器はやや男型になり、それとともに脳も男っぽくなるらしく、おてんばになり、ままごと遊びは好まないというように行動パターンが男型になることが分かっています。そこからジェンダー・ロール的な意味での性差にも生まれる前の男性ホルモンの影響があるのではないかと推測されるわけです。
Q:男性ホルモンは胎児の脳にどのように影響するのでしょうか。
視床下部を中心とした領域に、前視床下部間質核(INAH)と呼ばれる部分があり、その第3神経細胞群が男性の方がより大きくて、細胞数も多いことが知られています。アカゲザルも同じようにここが雄の方が大きいのですが、妊娠中に男性ホルモンを打つと、雌の仔ザルが雄と同じような行動をとります。それを生かしておいて、さらに成長するとこれらの雌ザルは、雌ザルの性行動を示さず、雄の性行動を示すようになります。死んでから解剖して脳を調べてみると、INAHの第3神経細胞群が雄のように大きくなっていたという報告がありますが、それは、この部分の大きさが胎生期の男性ホルモンの作用で決まることを暗示しています。
Q:人間に関してはその部分の機能についてどのようなことが分かっているのでしょうか。
女性に性的な衝動を感じない同性愛の男性はこの部分が小さく、女性のものにほぼ等しいというデータがあり、そのことから性的指向(sexual orientation)に関係があると考えられます。またBNST(分界条床核)という神経細胞群があるのですが、ここは通常、男性の方が大きく、女性は小さいのですが、最近報告された研究に、男から女への性転換者は女性のように小さく、反対に女性から男性への性転換者の場合、男性のように大きい、というものがありました。ただ、同性愛男性と一般の男性との有意の差は認められないことから、この部分(分界条床核という神経細胞群)は性的指向とは関係がなく、むしろジェンダー・アイデンティティと特異的な関係がある可能性が指摘されています。
(強調はダビデ)
その他の参考サイト:
●脳の性差を肯定する研究結果 2013年12月
米ペンシルバニア大学のRagini Verma氏らの研究グループはこのたび、男女の脳内部における神経走行の可視化を実現し、両者に見られる機能差を説明するための構造的な「証拠」を得たと発表しました。この成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されます。
●脳の性差を否定する見解もあります。2015年11月
(この調査結果は時期的には最新ですが、ホルモン関連の実験や調査は行われていません)
●まとめ
上記の参考文献に、
とあるとおり、
性別認識は脳の神経細胞群によって司られており、その部分が胎児のときに母体のホルモンの分泌の影響を受けた場合、先天的に性別認識が混乱する可能性があるのです。
同性愛者の一部もそうなのかもしれませんが、特にクリスチャン・トランスジェンダーの場合、このような障害を持った状態で生まれてきている可能性が考えられるのではないでしょうか。
その場合、トランスジェンダー・クリスチャンたちの性別認識の混乱は、罪の結果ではなく生来の神経組織の障害が原因ということになり、次の御言葉が当てはまります。
脳科学が進展し、脳の性差がさらに明らかにならないとはっきりとした答えを出せませんが、上記のような可能性がある以上、単なる神学的な論理だけでトランスジェンダー・クリスチャンを裁いたり、切り捨てるべきではないと思います。
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