ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

「五役者の働き」再考

「五役者の働き」に関する文章を翻訳し、掲載することにしました。五役者やその働きについては、こんにちのキリスト教界において、理解の混乱があります。この文章によって、その混乱が少しでも軽減され、五役者の働きに関する正しい理解へと近づくことができればと願います。

全文を一気に掲載できないことをお許しください。数回に分けて翻訳し、掲載させていただきます。本文の著者はフランク・ヴァイオラという、アメリカのオーガニック・チャーチ指導者です。

翻訳とブログ掲載については、出版社の許可を得ています。

English version http://www.ptmin.org/fivefold.htm

2008 Updated, Copyright Present Testimony Ministry - www.ptmin.org

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「五役者の働き」再考   フランク・ヴァイオラ


読者の方々の中には、「フランクさんは五役者の働きを信じていますか。エペソ4章に書かれている五役者の働きを、神が回復しつつあることを信じていますか」という疑問を投げ掛けている方々がいるに違いありません。

それについては「五役者の働き」の定義によると、お答えしておきます。つまり、そもそも「五役者の働き」とはどういうものなのか、というところから語り始める必要があります。200年前に生まれた、「五役者の働き」の回復に関する教義を言っているのか、それともパウロがエペソ4:9~16で述べている賜物についてなのか、ということです。

●教義が生み出された経緯

19世紀のイギリスでは、1000年王国の到来を語る終末預言が話題になっていました。フランス革命が生み出した社会の激変は、正しい秩序の回復による平和の統治を神の民に切望させました。

1824年、エドワード・アーヴィングというスコットランドの長老派教会の牧師が、「五役者の働き」について教え始めました。使徒預言者、伝道者、牧師、教師が教会から消えてしまった。それらの回復が必要だと。アーヴィングが言うには、五役者の働きの回復は、キリストの千年王国到来の前ぶれであるとのことでした。

アーヴィングと彼の従者たちは、1832年に、普遍的使徒教会(Catholic Apostolic Church、以降=CAC)を設立しました。主たる目的は、「五役者の働き」の回復と千年王国への備えです。CACは12人の「使徒」を任命しました。この12人の使徒たちは、イエスが任命した十二使徒に相当する終末時代版12使徒でした。ヘンリー・ドルモンドという、イングランド地方出身の裕福な銀行家がCACのリーダーでした。ドルモンド自身が、最も上級の地位である「スコットランド使徒」に就任しました。

これら12人の使徒たちが、キリストの再臨前に地上に現れる最後の使徒となる、という預言が語られていました。(この預言は、ペルシャのマニの復刻版です。マニは三世紀の人物で、自らをイエスによる最後の使徒である「光の使徒」と名乗りました。)

最終的には、普遍的使徒教会の12人の使徒は死に絶えました(最後の一人は、1901年に死亡)。彼らの死により、CACはイギリスにおいては消滅しました。しかしCACは新たに12人の使徒を任命し、「新しい使徒教会」(New Apostolic Church)と命名しました。

1896年、かつての組合教会派の教役者で、ジョン・アレクサンダー・ドウイーという人物が、「キリストの普遍的教会」(Christian Catholic Church)を設立しました。1901年、5000人の従者と共に、ドウイーはイリノイ州北東部に「シオンの街」(City of Zion)を設立しました。1904年、ドウイーは、自分は神から「第一の使徒」(First Apostle)に任命されたと公言しました。そして従者たちに、使徒的なキリスト教の完全なる回復を期待するよう指南したのです。1906年、シオンの街に住んでいた信者たちは散り始め、ドウイーも翌年、他界しました。

1906年にロサンゼルスのアズーザ・ストリートで始まったリバイバルに続いて、「五役者の働き」の回復と「再臨直前の聖霊の力強い注ぎかけ」が再び強調されました。そして新しい世代の使徒たちが現れました。その中には、ルイジ・フランチェスコン(イタリヤの使徒)、イワン・ヴォロナエヴ(スラブの使徒)、T・B・バレット(ヨーロッパの使徒)などがいます。ウエールズニューイングランド、オーストラリア、カナダ、アメリカ合衆国のペンコステ系の教派では、使徒の同労者たちを選出し、彼らを各教団の委員長に任命しました。

年月が経過し、「五役者の働き」の回復の教義は衰退しました。しかし1948年にカナダのサスカチュワン州ノース・バトルフォードにあるシャロン孤児院で起こったリバイバルに伴って、再浮上してきました。「後の雨の新秩序」(New Order of the Latter Rain)と呼ばれるムーブメントが起こり、それが地上の「神の子たち現れ」の道備えをする「五役者の働き」を回復すると預言されました。

しかしリバイバルの水が引いてしまうと「五役者の働き」の回復の教義も衰退し、1960年代後期のカリスマ運動の中で復活するのを待たなければなりませんでした。しかし1970年代になるとまた弱まり、1990年代半ばに、何人かの人たちの情熱によって復活させられるのを待つことになります。

1996年、ピーター・ワグナーが、「脱・教団所属教会」国際シンポジウムと題した大会をフラー神学校で開催しました。この大会が「新しい使徒的教会」(New Apostolic Church)と呼ばれるムーブメントを新たに生み出しました。ワグナーは、そのムーブメントが教会のあり方を世界中で一変させると主張しています。このムーブメントに参加する教会は、「新しい使徒的教会」と呼ばれています。

1999年、ワグナーは上記のムーブメントを、自らが「主宰使徒」を務める「国際使徒連合」(International Coalition of Apostles)の名のもとに組織化しようとしました。このムーブメントは、自分たちによって、こんにちの「五役者の働き」が回復されつつあると主張しています。

ついでに述べると、上記のムーブメントに加盟している諸教会は、(今は「使徒」と呼ばれるようになった)牧師、日曜礼拝の説教、講壇、長椅子、教会堂、500年前から受け継がれている礼拝プログラム、ワーシップチームの演奏による音楽などで満ちた、きわめて平凡なカリスマ派教会です。

●まとめ
「五役者の働き」の回復の教義は180年の昔からあるもので、あるムーブメントから別のムーブメントへと代々受け継がれてきたものなのです。



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