ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

使徒と預言者は教会の土台か?(後半)

なので私は、エペソ2:20は、そのように解釈すべきではないと思います。第一世代以降の新しい使徒預言者を教会の土台とするという解釈は間違いだと思います。




●原典では

それでは新改訳聖書の「使徒預言者という土台」の部分は、原点においてはどのように書かれているのでしょうか。


英語の聖書は、原典に忠実に訳されているので参考にしたいと思います。


「the foundation of the apostles and prophets」(欽定訳、新米標準訳)と訳されており、日本語に直訳すると「(その)使徒たちと預言者たちの(その)土台」です。



原典の直訳もこれと同じです。この(その)という定冠詞がついていることが、とても大切なポイントだと思います。



●定冠詞

ちなみに、エペソ2:20と3:5の「使徒たちと預言者たち」には定冠詞がついています。しかし4:11の「使徒たち」、「預言者たち」には、定冠詞はついていません。ですから、2:20と3:5の「使徒たちと預言者たち」というフレーズに、パウロが特定の意味を込めていると考えるのが自然です。


念のため書き添えますが、ここで言う「預言者たち」は、旧約の預言者ではありません。3:5に「この奥義は・・・前の時代には、今と同じようには人々に知らされていませんでした」とありますから、旧約時代の預言者には、新約時代と同じようには知らされていなかったのです。



●「使徒たちと預言者たち」というフレーズ

エペソ3:5~6

「この奥義は、今は、御霊によって、キリストの聖なる使徒たちと預言者たちに啓示されていますが、前の時代には、今と同じようには人々に知らされていませんでした。その奥義とは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人もまた共同の相続者となり、ともに一つのからだに連なり、ともに約束にあずかる者となるということです。」



パウロはなぜ、「(その)使徒たちと預言者たち」というフレーズを2章と3章で繰り返しているのでしょうか。それは彼らを通して、教会の土台となる重要な奥義が語られたことを説明したかったからではないでしょうか。異邦人もキリストのからだの構成員となり、ユダヤ人と一体となって教会ができるという奥義です。


3:3に「先に簡単に書いたとおり」とあります。これは、2章後半の異邦人とユダヤ人がキリスト・イエスにあってひとつのからだとなるという説明のことを指していると思います(2:13~16)。


そして3章に入るとパウロは、この説明を「奥義」という言葉を使ってさらに解説しています。つまり2章の後半から3章の前半までの文脈の中でパウロは、一貫して異邦人とユダヤ人がひとつになったという奥義をテーマとして手紙を書いているのです。2:20だけこの文脈から外れて、現代にも通じる「使徒預言者による教会形成論」にテーマが飛んだというのは考えにくいことです。



ですから、「使徒たちと預言者たちの土台」は、使徒預言者という働き人ではなく、彼らによって語られた「奥義」のことだと考えるのが妥当だと思います。



この奥義を、第一世代の使徒預言者たちがもたらしたので、パウロは定冠詞をつけて、「(その)使徒たちと預言者たち」と限定しているのだと思います。ですから、「(その)使徒たちと預言者たち」の中に、第一世代以降の新しい使徒預言者たちを混在させてはいけないのです。後世の使徒預言者には、新約聖書に書かれていない新しい奥義は、もはや啓示されないからです。



2:20の妥当な解釈としては、第一世代の使徒預言者によってもたらされた奥義の土台の上に教会は建てられており、キリスト・イエスがその礎石であると考えるべきだと思います。



こう解釈するなら、「土台」とは人ではなく、不変の真理ということになります。後代の使徒預言者は時代や地域によって異なりますが、「土台」は時代や地域によって変わることはありません。



●礎石

People's New Testamentの聖書注解が、エペソ2:20の「礎石」に関してとても判りやすい説明をしています。これをもって、この日記を締めくくります。

2:20 Built upon the foundation of the apostles and prophets. They have been built into the temple of the Lord. The word of God, declared by apostles and prophets, is the foundation of their faith,
Jesus Christ himself being the chief corner [stone]. The corner-stone was a stone of double size at the corner, which became a part of both walls and joined them together. So he had joined the Jews and Gentiles in the building. He is the foundation-stone on which the building rests, and the stone of union. Compare Isa 28:16 Mt 21:42 Ac 4:11 1Pe 2:7.
http://pnt.biblecommenter.com/ephesians/2.htm




2:20

使徒預言者という土台の上に建てられており」:彼ら(クリスチャン)は、神の宮の一部です。使徒預言者たちによって宣べ伝えられた神の言葉が、信仰の土台です。


「キリスト・イエスご自身がその礎石です」:礎石とは角に据えられたダブルサイズの石でした。礎石は二枚の壁とつながっており、両者を一つに結合させていました。イエスユダヤ人と異邦人を、一つの建物に結合させたのです。イエスは土台石であり、上にのっている建物を支えているのです。イエスこそ一致の石なのです。比較:イザヤ28:16、マタイ21:42、使徒4:11、汽撻謄蹌押В掘