ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

イラク戦争 グルーデムによる評価

 
 大なり小なり私たちの多くは、「私たちがイラク戦争に対して持っている印象」という眼鏡をとおして、フランクリン・グラハムを見ているのではないでしょうか。
 
 保守的な神学者であるグルーデムが正戦論に基づいてイラク戦争を評価した文献があるので、それを見てみましょう。
 
 
引用元:「聖書に基づいた政治」ウエイン・グルーデム著
 
 
イラクアフガニスタンでの戦争P413P417
 
 先述した正戦論の基準に従うと、イラクアフガニスタンでの戦争は、正当な戦争だったと私は思う。
 
1)これらの戦争は正当な理由で行われた。まずはじめに、アメリカはすでに911イスラム教テロリストの攻撃を受けていたし、それ以前にも受けていた。第二に、イラクアフガニスタンでの戦争は、イスラム教テロの温床となっている地域に対する戦争であった。それゆえ二つの戦争の主たる根拠は、同様のテロ攻撃に対する国防であった。テロ攻撃は特定の国からのものではなく、様々な国々から支援を受けるテロリストの国際ネットワークによるものだからだ。タリバンアルカイダアフガニスタンを支配していて、そこを拠点としてテロ攻撃を実行していた。中東ではサダム・フセインが訓練用地の提供し、テロ行為への支援を繰り返していた。フセインは、イスラエル自爆テロを実行したすべてのテロリストの家族に25,000ドルを支払っていたし、大量破壊兵器を開発し、おそらく所有もしていた。イラク戦争に関する正当な理由としては、サダムは1993年の第一湾岸戦争後、まったく降伏を認めていなかった。核兵器を所有していないことを証明する査察団の受け入れを、彼が拒否しつづけていたことがその理由である。
 
 イラク侵攻後、大量破壊兵器は発見されなかったが、アメリカと多くの西側諸国の情報機関は、フセインが生物化学兵器を所有していることを確信していた。(彼はそれを、イラク北部のクルド人に対して使用したことがあった。)また、フセイン核兵器を手に入れようとしていた実質的な証拠もあった。(イスラエル198167日の時点で、サダム・オシラク原子炉を奇襲攻撃によって破壊していた。イスラエルは、サダムがその原子炉を使い、すぐにでも核兵器を開発できると確信していたからだ。)イギリスのBBC放送によると、イスラエル政府はその攻撃の理由を、次のように伝えている。「広島の原爆と同等の威力を持つと思われる原子爆弾を、その原子炉から得られるウラニウムあるいはプルトニウムを使って作ることが可能だった。イスラエル国民の生命の危険が急速に高まっていたのだ。」 
 
 これに加え、先述の情報機関の報告が正確であったことを信じるに足る理由がある。それは複数の信頼できる情報筋が、アメリカによる侵攻の直前、サダムが膨大な量の大量破壊兵器をシリアに移送したと報告しているからだ。20041月には、フランスの報道機関Agence France Pressが次のように報告した。
 
 国外追放されたシリアの反体制派の人物は、昨年の3月(20033月)のアメリカによるイラク侵攻の直前、イラクの生物化学兵器が秘密裏にシリアに持ち込まれたと繰り返し主張している。「イラクの生物化学兵器は、最初、ダマスカスの本部にある(シリア)大統領警備軍の倉庫に持ち込まれた」と、ニザー・ナヨウフがフランスの中東情報専門のインターネット・ニュースサイト「プロシェ・オリエント・インフォ」に語った。彼によると、移送計画は「サダム・フセインが、イラクに対するアメリカの行動計画に気づいた20032月から3月の間に」行なわれた。移送計画は、シリアのアサド大統領の警護隊長で、大統領に近いとされるゾウルヒムラ・シャリチ将軍の監督下で行なわれた。ナヨウフによると、この情報は「移送計画に加わった複数の軍の幹部」から得たものである。
 
 その後、イスラエルアリエル・シャロン首相も、200212月に次の声明を発表した。「我々は、同じ趣旨の情報を得ている。我々は今、その情報を確認中である。」
 
 しかしこの戦争に、より大きな意義があった理由は、イラクにおける自由で民主的な政府の樹立という確信を、ブッシュ大統領と上下院両院の指導部が持っていたことである。それが実現すれば、アメリカを幾度となく攻撃したイスラム教テロに対して、長期的な解決策を生むことになるからだ。開かれた民主主義によって統治される国家は、他国をむやみに攻撃するために、戦争を起こすことはないからである。(中略)
 
 イラクでは現在、真の民主主義が機能しつつある。憲法制定会議の代表者選挙をはじめとして、20051015日には憲法認定選挙が行われ、その選挙では有権者63%が投票し、賛成78%で憲法を可決した。さらにその後も成功を収めた選挙として挙げられるのは、20051215日に行われた国会議員選挙と、201037日の国会議員選挙である。(中略)
 
 私(グルーデム)が期待しているのは、このようなプロセスにより、イスラム教テロ撲滅に向けての長期的な希望がもたらされることだ。イスラム教国で民主主義が機能するようになれば、最終的にはテロリストの訓練施設や隠れ蓑となる場所が消滅するからである。
 
 それゆえイラク戦争は、イスラム教過激派テロからアメリカが国を守るため、必要かつ計画的な、極めて重要なステップであった。その点でイラク戦争は、正当な理由のもとで行われた戦争である。
 
2)イラクアフガニスタン戦争は、議会によって承認されている大統領という適切な権威者によって宣戦布告されました。
 
3)アメリカ側は敵と比較して公正でした。アフガニスタンタリバンイラクサダム・フセインが悪を増大させていたからです。
 
4)アメリカには正当な意図がありました。二つの国家を独裁の圧政から解放し、同時にアメリカに対するテロの脅威を除去するのが目的だったからです。
 
5)どちらの戦争も最終手段でした。他の交渉や外交努力が何年間も行なわれたしたが、両国に大きな変化はありませんでした。
 
6)アメリカには、大きな勝算がありました。
 
7)戦争がもたらした善の割合は、どちらの戦争においても多大でした。両国からのテロは、世界中に脅威をもたらしていましたし、両国の政府が交替することは、善に大きく貢献すると考えられたからです。事実、両国における結果の現れとして、民主主義が機能しています。合わせて6000万人近くの人々(イラク2900万人、アフガニスタン2800万人)が公式に極度の圧政下に置かれていましたが、現在は自由に暮らしています。これは素晴らしい結果です。
 
8)二つの戦争は、正しい精神によって遂行されました。戦争をしなければならかったことへの遺憾の意を持ちながらも、良き結果を確信する決意も持っていたからです。
                   
                                (引用終わり)
 
 
●おわりに
 
 フランクリン・グラハムのイラク戦争支持について、日本のキリスト教界は激しく攻撃していますが、批判する上での聖書的根拠は説明していません。
 
 グラハムの発言は戦争に関する聖書の教えと関連しており、批判するにおいても聖書に基づいてそうするべきです(使徒1711、第一テサロニケ5:21)。
 
 日本のキリスト教界において、戦争一般についての聖書的研究が進展することを願います。
 
 
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