先と後の逆転現象 マタイ19:30
今日の箇所は、私たちの多くにとって、文字通りグッドニュースだと思います。
マタイ19:29~30
また、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、あるいは畑を捨てた者はすべて、その幾倍もを受け、また永遠のいのちを受け継ぎます。
ただ、先の者があとになり、あとの者が先になることが多いのです。
別に間違いではありませんが、新改訳の30節は意訳されています。
原文では、「多い、先の、後の」を意味する形容詞がどれも名詞として使われており、
どれも複数形になっています。
以下が原文の30節です。
πολλοὶ δὲ ἔσονται πρῶτοι ἔσχατοι
多くの者 しかし ~になる 先の者 後の者
καὶ ἔσχατοι πρῶτοι.
そして 後の者 先の者
「多くの者」が冒頭に来ているので、数の多さが強調されていることがわかります。
この原文を自然な日本語にするのは難しいところですが、
新共同訳が一番正確な訳文だと、私は思います。
新共同訳
しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。
口語訳
しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう。
文語訳
されど多くの先なる者後に、後なる者先になるべし。
●意味
この箇所には、二重の意味があると言われています。
1番目の意味 上層部と下層部の逆転
「上層部の人」を意味します。
「下層部の人」を意味します。
イエスさまは、それぞれの多くが入れ替わると言っています。
つまり、現世において上層部にいる多くの人が神の国では下層部になり、
現世において下層部にいる多くの人が神の国では上層部になるということです。
素直に喜んでいる人は、いま下層部にいるということでしょう(笑)。
2番目の意味 ユダヤ人と異邦人の逆転
2番目の意味を理解するには、以下の箇所がわかり易いと言われています。
ルカ13:28~30
神の国にアブラハムやイサクやヤコブや、すべての預言者たちがはいっているのに、あなたがたは外に投げ出されることになったとき、そこで泣き叫んだり、歯ぎしりしたりするのです。人々は、東からも西からも、また南からも北からも来て、神の国で食卓に着きます。いいですか、今しんがりの者があとで先頭になり、いま先頭の者がしんがりになるのです。
しかし後になって福音を聞いた私たち異邦人は、
その多くが福音を信じて神の国に入ります。
「先の者が後になる」という表現を通して、
イエスさまはその逆転現象を預言的に語っているのです。