2種類の友 マタイ20:13
新改訳聖書が訳出していない言葉についてです。
マタイ20:13
しかし、彼はそのひとりに答えて言った。『〇〇、私はあなたに何も不当なことはしていない。あなたは私と一デナリの約束をしたではありませんか。
原文を見ると、上記の〇〇の部分には訳出されていない言葉があります。
以下の他の日本語聖書を見るとわかるとおり、「友」という言葉です。
新共同訳
主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
口語訳
そこで彼はそのひとりに答えて言った、『友よ、わたしはあなたに対して不正をしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束をしたではないか。
ギリシャ語辞典では、以下のように説明されています。
ヘタイロス:「友と思しき者」のことを指すが、実際は損得勘定で行動しているペテン師
ゆえに、ヘタイロスは次のような箇所で使われています。
マタイ22:12~13(新共同訳)
王は、『友よ、どうして礼服を着ないでここに入って来たのか』と言った。この者が黙っていると、王は側近の者たちに言った。『この男の手足を縛って、外の暗闇にほうり出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』
マタイ26:50
後者の箇所はイスカリオテのユダへの呼び掛けですから、
ヘタイロスのニュアンスが悪いことは明白です。
マタイ20:13も雇い主に不平を言っている労働者への呼び掛けで、否定的な脈絡です。
ですから「友」という日本語は不適切ですね。
新改訳が訳出しなかったのは、賢明だったのではないでしょうか。
●フィロス
ヨハネ15:14
わたしがあなたがたに命じることをあなたがたが行なうなら、あなたがたはわたしの友です。
「親しい間柄にあって愛されている人」を意味します。
不平を言ったり、裏切ったりするヘタイロスではなく、
イエスさまからフィロスと呼ばれる者でありたいですね。