アダムの寿命と千年一日説
この記事では、千年一日説の根拠の一つとなる興味深い聖書解釈をご紹介します。
創世記2:16~17
神である主は、人に命じて仰せられた。「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。17 しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるその時、あなたは必ず死ぬ。
新共同訳や口語訳では、いつ死ぬかについてはまったく訳出されていません。
しかしヘブル語テキストの17節には、
それゆえいくつかの英語聖書は、
「in the day…you shall surely die/その日のうちにあなたは必ず死ぬ」
と訳しています。
ESV(英語標準訳)
but of the tree of the knowledge of good and evil you shall not eat,
for in the day that you eat of it you shall surely die.
NASB(新米標準訳)
but from the tree of the knowledge of good and evil you shall not eat,
for in the day that you eat from it you will surely die."
KJV(欽定訳)
But of the tree of the knowledge of good and evil, thou shalt not eat of it:
for in the day that thou eatest thereof thou shalt surely die .
●アダムの寿命
ここでアダムが生きた年月を確認しましょう。
創世記5:5
アダムは全部で九百三十年生きた。こうして彼は死んだ。
アダムは930年生きました。
このことから何がわかるかというと、
創世記2:17で神が言うところの「その日」という1日は、
1000年である可能性が極めて高いということです。
「その日のうちに必ず死ぬ」と言われたアダムが930年後に死んだということは、
930年という年月は、神にとっては1日以内だったということになります。
ですから、神の1日というのは1000年である可能性が高いのです。
●神の7000年計画
「神の7000年計画」のイラスト
この説の主張を簡単に言い表すと、
「人類創生から6000年後に、平和と調和の1000年が訪れる」というものです。
言い換えると、
そのあとは永遠の御国がつづくというものです。
この説は、詩篇90:4や2ペテロ3:8の1日は1000年でもあるという原則と、
神が6日間で万物を創造し、7日目に安息した創造の原則とに基づいています。
千年一日説に基づいた「神の7000年計画の図表」も見ることができます。
千年一日説は、歴史的前千年王国説の一種です。
を信じる人々に支持されている終末論でもあります。
安藤和子先生のサイト「喜んで、輝いて生きる」に、
こう書かれています。
アダムからアブラハムまで =約2千年
アブラハムからキリストまで=約2千年
キリストから現在まで =約2千年
合計 =約6千年
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これに千年王国の1000年を足すと、神の7000年計画と同じ結論になり、
*注:安藤先生が千年一日説を信じているというわけではありません。
●教父の一部も信奉
教父たちの中にも、千年一日説を信じる人たちがいました。
ヒッポリュトスからの引用(AD205)
"The Sabbath is the type and symbol of the future kingdom of the saints, when they shall reign with Christ after He comes from heaven, as John says in his Revelation. For "a day with the Lord is as a thousand years."
Hippolytus, ANF.vol.5.p179.
「安息日は、聖徒たちの未来の王国(千年王国のこと)の原型であり象徴である。ヨハネが黙示録で言っているとおり、そのとき聖徒たちは、キリストが天から来られた後、キリストと共に統治することになる。『主の御前では、一日は千年のようである』からだ。」
●あとがき
千年一日説という歴史的前千年王国説は、とても興味深いと思います。
2ペテロ3:8~10やゼカリヤ14章をはじめ、
終末に関連する色々な聖書箇所を字義通りに解釈していくと、この説に辿り着きます。
一方、他の千年王国説は、どこかの部分を象徴的に解釈しなければなりません。
この説について、さらに記事を書いていくつもりです。