「サタンに引き渡す」とはどういうことだろうか? 1コリント5:5
ギリシャ語の教科書からです。
●除名か死の宣告か?
1コリント5:5
このような者をサタンに引き渡したのです。それは彼の肉が滅ぼされるためですが、それによって彼の霊が主の日に救われるためです。
上記の箇所の「肉」という言葉は、「体」と訳すこともできます。
それゆえ聖書注解者の意見に相違があり、パウロは教会からの除名を言っているのか、
それとも実際の死を宣告しているのかで分かれています。
●前置詞と接続語がヒントに
この箇所には、「エイス」という前置詞と「ヒナ」という接続語が使われていますが、
教科書の著者マウンスは、それらがヒントになると言っています。
パラドゥナイ トン トイオウトン トー サタナ
引き渡した 定冠詞 そのような人を 定冠詞 サタンに
エイス オレスポン テース サルコス
~のために 破壊 定冠詞 肉の
ヒナ ト プニューマ ソーステ
それによって~ために 定冠詞 霊が 救われる
エン テー ヘメラ トウ キュリウー
~の中 定冠詞 日 定冠詞 主の
「エイス」・・・結果や目的を表す前置詞で、原義は「~の中に」
「ヒナ」・・・目的を表す接続語。文中にヒナがある場合、前後を区切って訳すのが原則。
●ポイント
ヒナの説明にあるとおり、この語が出てきたときは、文の前後をわけて考えるのが原則です。
ギリシャ語文法においては、ヒナという接続語の役割が大きいことから、
パウロの最終的な目的は、罪を犯した人の救いであることがわかります。
この点を考慮すると、ヒナ以降の部分を独立させて訳したほうが、
日本文としては、最終目的が明確になると思われます。
私訳
そのような人をサタンに引き渡しました。肉の破壊のためです。
それによって霊が主の日に救われるためです。
このように訳すと、以下の二点が明確になるように思います。
①サタンへの引き渡しの直接の目的 = 「肉の破壊」
②最終目的 = その人の救い(裁きではない)
●解釈
ギリシャ語文法によって、最終目的ははっきりしました。
しかし「サタンに引き渡した」とは、具体的に何を意味するでしょうか。
また「肉の破壊」とは、何を意味するのでしょうか。
詳しく記事にすると膨大な長さになるのでしませんが、
マウンスの教科書と以下の4つの参考文献が同じ結論を述べていますので、
その結論を簡潔に書きます。
参考文献:
ゴードン・フィーの1コリント注解書
バイブル・バックグラウンド・コメンタリー
聖書の難解な言葉(ハード・セイイングス・オブ・ザ・バイブル)
リフォーメーション・スタディー・バイブル
「サタンに引き渡した」 = サタンの支配の領域であるこの世に出す = 一時的除名
「肉の破壊」 = 罪深い性質の破壊
2コリント2:5~11で述べられている、悲しみのもとになった「その人」とは、
1コリント5:5と同一人物だという説がある。その場合、1コリントで除名された人は、悔い改めて教会に戻ってきたことになる。
教科書の説明の最後は、次の聖句で締めくくられています。
主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである。
へブル12:6
↓応援ありがとうございます↓