【ミニ投稿】主の祈り:「悪」か「悪い者」か?
主の祈り(マタイ6:13 )に関する記事です。
●「悪」と「悪い者」
新改訳
私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。
新共同訳
わたしたちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください。
上記のとおり、マタイ6:13後半の訳は二通りあります。
新改訳は「悪」からの救い、新共同訳は「悪い者」からの救いです。
訳語上は小さな違いですが、神学的には必ずしも小さくありません。
私たちは必ずしも「悪」から守られるわけではありませんが、
「悪い者」(サタン)からは守られるからです。
●説明
(しかし) 救う 私たちを ~から 定冠詞 悪い
上記はマタイ6:13の後半です。
形容詞に定冠詞がつくと名詞化して「悪い者」になります。
The word is used in the nominative case in Mt. 6:13. This usually denotes a title in the Greek. Hence Christ is saying, deliver us from "The Evil", and is probably referring to Satan.
マタイ6:13において、この言葉は主格で使われている。この用法は、ギリシャ語においては肩書を表すのが普通である。ゆえにキリストが言っているのは、「邪悪な者」から私たちを救ってください、ということである。この「邪悪な者」とは、恐らくサタンを指している。
●まとめ
ちなみにマタイ6:13前半の、「試み」と「誘惑」の違いもあります。
しかし後半部分のテーマが、サタンからの守りであることを考慮するなら、
「誘惑」のほうが良いのではないでしょうか。
「試み」だと「試練」と勘違いしそうですし。
「誘惑」とするなら、
神による試練ではなく、悪魔による「誘惑」であることがはっきりします。
意味をはっきりさせて祈ることが大事ですので、
「誘惑」のほうが良いように思います。
そもそも、「試練」に遭わせないでください、と祈ることには矛盾があります。
なぜなら
主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである。
へブル12:6
そういうわけで、マタイ6:13は、新共同訳のほうが適訳ではないでしょうか。
新共同訳
わたしたちを誘惑に遭わせず、悪い者から救ってください。
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古典ギリシャ語による「主の祈り」朗読