ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

「背教」か「出発」か? 2テサロニケ2:3 その1

 
 この箇所で「背教」と訳されている言葉の原義に関する記事です。
 
 その言葉には「出発/離れ去ること」という意味もあるため、
 
 患難前携挙説に立つ人の中には、

「教会が地上から離れ去ること」を意味していると理解する人もおり、
 
 興味深い議論がなされています。
   

アポスタスィーアの原義
 
2テサロニケ2:3 
だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教が起こり、不法の人、すなわち滅びの子が現われなければ、主の日は来ないからです
 
 
 この聖句で「背教」と訳されている、アポスタスィーアの意味を見てみましょう。
 
アポスタスィーア
(動詞:アフィステミ「去る、出発する」、アフィステミーの由来はアポ「~から離れる」とヒステミー「立つ」)厳密には、出発という意味(離脱を暗示している);背教‐文字通りには「前に立っていた所から離れ去ること」 
 
訳注:英語の「departure」は「出発」と訳されますが、実質的な意味は「離れ去ること」です。  

 
アポスタスィーア/アフィステミーの使用箇所
 
 アポスタスィーアは、新約聖書中に2回しか使われていません。
 
 残りの1箇所は使徒の働きです。
 
使徒21:21 
ところが、彼らがあなたについて聞かされているところによると、あなたは異邦人の間にいるすべてのユダヤ人に対して、子供に割礼を施してはならない、ユダヤ人の慣習に従って歩んではならないと言って、モーセから離反するように教えているということです
 
 
 一方、アポスタスィーアの動詞「アフィステミー」は、色々な箇所で使われています。
 
ルカ2:37 
その後やもめになり、八十四歳になっていた。そして宮を離れず、・・・

ルカ4:13 
誘惑の手を尽くしたあとで、悪魔はしばらくの間イエスから離れた

ルカ8:13 
岩の上に落ちるとは、こういう人たちのことです。聞いたときには喜んでみことばを受け入れるが、根がないので、しばらくは信じていても、試練のときになると、身を引いてしまうのです

ルカ13:27 
しかし主人は、『お前たちがどこの者か知らない。不義を行う者ども、皆わたしから立ち去れ』と言うだろう

使徒5:37~38 
その後、人口調査のとき、ガリラヤ人ユダが立ち上がり、民衆をそそのかして反乱を起こしましたが、自分は滅び、従った者たちもみな散らされてしまいました
そこで今、あなたがたに申したいのです。あの人たちから手を引き、・・・
 
使徒12:10 
彼らが、第一、第二の衛所を通り、町に通じる鉄の門まで来ると、門がひとりでに開いた。そこで、彼らは外に出て、ある通りを進んで行くと、御使いは、たちまち彼を離れた
 
使徒15:38 
しかしパウロは、パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者はいっしょに連れて行かないほうがよいと考えた
 
使徒19:9 
しかし、ある者たちが心をかたくなにして聞き入れず、会衆の前で、この道をののしったので、パウロは彼らから身を引き、弟子たちをも退かせて、毎日ツラノの講堂で論じた
 
使徒22:29 
このため、パウロを取り調べようとしていた者たちは、すぐにパウロから身を引いた

2コリント12:8 
このことについては、これを私から去らせてくださるようにと、三度も主に願いました
 
1テモテ4:1 
しかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります
 
2テモテ2:19 
それにもかかわらず、神の不動の礎は堅く置かれていて、それに次のような銘が刻まれています。「主はご自分に属する者を知っておられる。」また、「主の御名を呼ぶ者は、だれでも不義を離れよ。」

へブル3:12 
兄弟たち。あなたがたの中では、だれも悪い不信仰の心になって生ける神から離れる者がないように気をつけなさい

 
 赤文字の部分は、アフィステミーが「背教する」という意味で使われている箇所で、
 
 14回のうちの3です。
 
 あとの11回は「離れる」「手を引く」「引き離す」などです。 

 
英語訳聖書の歴史
 
 以下に示した引用サイトによると、
 
 聖書が英語に翻訳されはじめた最初の7つの翻訳までは、
 
 2テサロニケ23は「departuredeparting」と訳されていたそうです。

(アフィステミー)という言葉の使われ方と意味についての見識は、確かに興味を引くものだ。しかしトミーが提示した説明には、更に説得力がある。それは、最初の7つの英語訳聖書では、「アポスタスィーア」という名詞が「出発/departure」あるいは「出発すること/departing」と訳されていたというものだ。それらの英語訳聖書は次のとおりである。
 
1.ウィクリフ聖書(1384年)
2.ティンダル聖書(1526年)
3.カバデイル聖書(1526年)
4.クランマー聖書(1535年)
5.グレート聖書(1540年)
6.ビーチーズ聖書(1576年)
7.ジュネーブ聖書(1608年)
 
 

その2につづく

 
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