【ミニ投稿】「王である祭司」??? 1ペテロ2:9
1ペテロ2:9の訳語についての短編です。
●「王の」祭司
1ペテロ2:9
しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。
新改訳は「王である祭司」と訳しています。
「王の」あるいは「王家の」「王国の」という意味です。
ギリシャ語辞典を見ると、バシレオスの語源はバシリュースだと書かれています。
バシリュースは「王、支配者」という意味なので、
その形容詞であるバシレオスの原義は、「王の」ということになります。
ですから正しい訳は「王の祭司」です。
意味としては「王に仕える祭司」です。
この訳であれば、聖句の後半の脈絡と一致します。
「光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるため」
とあるとおり、
私たちクリスチャンは、福音を伝えることによって御国の王に仕えるのです。
また少し手前の5節とも整合します。
「聖なる祭司として・・・神に喜ばれる霊のいけにえをささげなさい。」
とあり、
ペテロは、王の祭司として神に仕えるよう、教えています。
これらの点から、
「王である祭司」と訳すよりも「王の祭司」のほうが適訳だと思います。
●祭司職
厳密には祭司という人間のことではなく、「祭司職/priesthood」を意味します。
祭司という人間をいう場合は、ヒエラテュオーという別の言葉があります。
ペテロが祭司職という言葉を選んだのは、
話題にしているのがクリスチャン各個人ではなく、
集合体としての教会だからだと思います。
ペテロは、教会という集合体として主に仕え、
主の素晴らしさを証していくよう、私たちに勧めているのです。
ちなみに、岩波翻訳委員会訳は次のように訳しています。
それに対してあなたがたは選ばれた種族、王の〔家系の〕祭司団、聖なる民族、
〔神の〕所有となるべき民であって、自分たちを闇からご自分の驚くべき光へと召された方の卓越した力を告げ知らせるはずのものなのである。
↓最後までお付き合いくださりがとうございます↓