ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

【ミニ投稿】「神から生まれた者」とは? 1ヨハネ3:7~10

 ワードスタディーとしてお利用いただければ幸いです。
 
 
「悪魔の子ども」とは?
 
ヨハネ378(岩波翻訳委員会訳)
子供たちよ、誰にも惑わされてはならない。義を行なう者は義しい。それはあの方が義しい方であるのと同じである。
罪を犯す者は悪魔から出た者である。なぜなら、悪魔ははじめから罪を犯しているからである。神の子はその悪魔の業を滅ぼすために現れたのである。
 
 
 ヨハネは、「義を行なう者」と「罪を犯す者」を対比しています。
 
 原文では、「行う」の部分と「犯す」の部分はまったく同じ単語が使われていて、
 
 違っているのは「義」と「罪」の部分だけなので、
 
 対比していることがはっきりわかるようになっています。
 
 
「悪魔から出た者」というのは、とてもきつい表現ですね。
 
ペテロは、魔術師シモンのことを「悪魔の子」と呼んでいます。
 
 
使徒13:10 
(ペテロは)言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか
 
 
「悪魔から出た者」という言い方は、ヨハネのオリジナルではありません。
 
 イエスさまが似たような言い方をしました。
 
 
ヨハネ8:44 
あなたがたは、あなたがたの父である悪魔から出た者であって、あなたがたの父の欲望を成し遂げたいと願っているのです。
                                  
 
 では、「悪魔から出た者」とはどういう意味でしょうか?
 
 有名なアウグスティヌスは、こう解説したそうです。

 
悪魔は誰も作っていないし、産んでもいないし、創造していもいない。しかし悪魔を模倣する者はみな、生まれるという意味においてではなく、模倣するという意味において、悪魔の子どもである。
 

 別の注解者は、こう述べています。
 
罪を犯す者が悪魔から出ているというのは、悪魔に属し、悪魔に忠誠を誓っているという意味である。
 
 
 新共同訳は、そのように意訳しています。
 
罪を犯す者は悪魔に属します。悪魔は初めから罪を犯しているからです。悪魔の働きを滅ぼすためにこそ、神の子が現れたのです
 
 
 ちなみに「悪魔の働き」というのは、悪魔に属する者が犯す罪のことです。
 
「悪魔の働きを滅ぼすためにこそ、神の子が現れた」というのは、
 
 5節の「キリストが現われたのは罪を取り除くため」と同じ意味です。
 
  
●「神から生まれた者」とは?
 
ヨハネ3910(岩波翻訳委員会訳)
神から生まれた者は誰でも罪を犯さない。なぜなら神の種子がその人の中に宿っているからである。また、その人は罪を犯すことができない。なぜなら神から生まれた者だからである。
神の子供たちと悪魔の子供たちはこうして見分けられる。すなわち、義を行なわない者は誰であれ神から出たものではない。自分の兄弟を愛さない者も同様である。
 
 
神から生まれた者」の「生まれた」は、
 
 マタイ1章の系図にある「生まれた」と同じ単語で、
 
「(父親が)子を設ける」という意味のゲナオーという言葉です。
 
 なので古代のギリシャ人が「神から生まれた者」の部分を読んだ場合、
 
 父親が神であることがわかるということです。
 
 
「種子」はスベルマという言葉です。
 
「植物の種子」という意味と「男性の精液」という意味があり、
 
 後者が派生して「子孫」という意味にもなります。
 

 セイヤーは1ヨハネ39のスペルマを、精子の意味で区分していますが、
 
 解釈上では、この箇所の「神の種子」の意味は、聖霊とされています。
 
 七十人訳レビ記では、スペルマが精液の意味で使われています。
 
 
レビ記15:16 
人がを漏らしたときは、その人は全身に水を浴びる。その人は夕方まで汚れる。
 
   
罪を犯したらクリスチャンじゃないの?
 
「神から生まれた者は誰でも罪を犯さない」や、
 
その人は罪を犯すことができない」の意味ですが、
 
 原文ではどちらも、「犯す」の部分が現在形で書かれています。
 
 なので「罪を犯しつづけない」「罪を習慣的に犯すことができない」というのが、
 
 正しいニュアンスです。
 
 英語の聖書には、そのように訳されているものがあります。
 
 
NIV(新国際標準訳)
No-one who is born of God will continue to sin, because God’s seed remains in him; he cannot go on sinning, because he has been born of God. 
 
神から生まれた者は、誰も罪を犯しつづけない。・・・彼には、罪を犯しつづけけることができない。
 

ESV(英語標準訳)
No one born of God makes a practice of sinning, for God's seed abides in him, and he cannot keep on sinning because he has been born of God. 
 
神から生まれた者は、誰も罪を犯す習慣がない。・・・彼には、罪を犯しつづけけることができないのである。
 
 
まとめ
 
 一言で言えば、
 
 ヨハネは、私たちクリスチャンのアイデンティティーの話をしているのだと思います。
 
 私たちは神の子どもであり、神の子どもとしての性質を帯びているということです。


 パウロは、ガラテヤの教会に次のように教えました。

 
あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父。」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。ですから、あなたがたはもはや奴隷ではなく、子です
                              ガラテヤ4:6~7



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