【ミニ投稿】「神から生まれた者」とは? 1ヨハネ3:7~10
ワードスタディーとしてお利用いただければ幸いです。
●「悪魔の子ども」とは?
子供たちよ、誰にも惑わされてはならない。義を行なう者は義しい。それはあの方が義しい方であるのと同じである。
罪を犯す者は悪魔から出た者である。なぜなら、悪魔ははじめから罪を犯しているからである。神の子はその悪魔の業を滅ぼすために現れたのである。
原文では、「行う」の部分と「犯す」の部分はまったく同じ単語が使われていて、
違っているのは「義」と「罪」の部分だけなので、
対比していることがはっきりわかるようになっています。
「悪魔から出た者」というのは、とてもきつい表現ですね。
ペテロは、魔術師シモンのことを「悪魔の子」と呼んでいます。
(ペテロは)言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。
「悪魔から出た者」という言い方は、ヨハネのオリジナルではありません。
イエスさまが似たような言い方をしました。
あなたがたは、あなたがたの父である悪魔から出た者であって、あなたがたの父の欲望を成し遂げたいと願っているのです。
では、「悪魔から出た者」とはどういう意味でしょうか?
有名なアウグスティヌスは、こう解説したそうです。
「悪魔は誰も作っていないし、産んでもいないし、創造していもいない。しかし悪魔を模倣する者はみな、生まれるという意味においてではなく、模倣するという意味において、悪魔の子どもである。」
別の注解者は、こう述べています。
「罪を犯す者が悪魔から出ているというのは、悪魔に属し、悪魔に忠誠を誓っているという意味である。」
新共同訳は、そのように意訳しています。
罪を犯す者は悪魔に属します。悪魔は初めから罪を犯しているからです。悪魔の働きを滅ぼすためにこそ、神の子が現れたのです。
ちなみに「悪魔の働き」というのは、悪魔に属する者が犯す罪のことです。
「悪魔の働きを滅ぼすためにこそ、神の子が現れた」というのは、
5節の「キリストが現われたのは罪を取り除くため」と同じ意味です。
●「神から生まれた者」とは?
神から生まれた者は誰でも罪を犯さない。なぜなら神の種子がその人の中に宿っているからである。また、その人は罪を犯すことができない。なぜなら神から生まれた者だからである。
神の子供たちと悪魔の子供たちはこうして見分けられる。すなわち、義を行なわない者は誰であれ神から出たものではない。自分の兄弟を愛さない者も同様である。
「神から生まれた者」の「生まれた」は、
マタイ1章の系図にある「生まれた」と同じ単語で、
なので古代のギリシャ人が「神から生まれた者」の部分を読んだ場合、
父親が神であることがわかるということです。
「植物の種子」という意味と「男性の精液」という意味があり、
後者が派生して「子孫」という意味にもなります。
解釈上では、この箇所の「神の種子」の意味は、聖霊とされています。
人が精を漏らしたときは、その人は全身に水を浴びる。その人は夕方まで汚れる。
●罪を犯したらクリスチャンじゃないの?
「神から生まれた者は誰でも罪を犯さない」や、
「その人は罪を犯すことができない」の意味ですが、
原文ではどちらも、「犯す」の部分が現在形で書かれています。
なので「罪を犯しつづけない」「罪を習慣的に犯すことができない」というのが、
正しいニュアンスです。
英語の聖書には、そのように訳されているものがあります。
NIV(新国際標準訳)
No-one who is born of God will continue to sin, because God’s seed remains in him; he cannot go on sinning, because he has been born of God.
神から生まれた者は、誰も罪を犯しつづけない。・・・彼には、罪を犯しつづけけることができない。
ESV(英語標準訳)
No one born of God makes a practice of sinning, for God's seed abides in him, and he cannot keep on sinning because he has been born of God.
神から生まれた者は、誰も罪を犯す習慣がない。・・・彼には、罪を犯しつづけけることができないのである。
●まとめ
一言で言えば、
私たちは神の子どもであり、神の子どもとしての性質を帯びているということです。
パウロは、ガラテヤの教会に次のように教えました。
あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父。」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。ですから、あなたがたはもはや奴隷ではなく、子です。
ガラテヤ4:6~7
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