「敵」というのは何者? マタイ13:28
マタイ13:28
主人は言った。『敵のやったことです。』すると、しもべたちは言った。『では、私たちが行ってそれを抜き集めましょうか。』
この箇所は、「毒麦の譬え」と呼ばれている箇所です。
毒麦は、多くの点で本物のクリスチャンに似ているので、人には見分けがつきません。
さて28節で主人は、「敵のやったことです」と答えています。
私たちのほとんどは、この「敵」のことをサタンだと思っているはずです。
神学的には間違いではないでしょう。
しかし原文を見ると、そうは書かれていません。
ἐχθρὸς ἄνθρωπος τοῦτο ἐποίησεν.
敵・主格 人間・主格 これを 行った
上記のように、「敵」の次に「人間」を意味するアンスロポスが書かれています。
「敵」も「アンスロポス」も主格で書かれているので、
両方が主語であることがわかります。
ですからイエスさまは、敵というのは「人間」だと言っているわけです。
英語聖書の中には少なくとも3種類、アンスロポスを訳出しているものがあります。
その一つを引用します。
And he saith to them, A man, an enemy, did this; and the servants said to him, Wilt thou, then, that having gone away we may gather it up?
そして彼は彼らに言った。人間である敵がこのことを行なったのです。するとしもべたちは彼に言った。それでは我らが出て行って、それを集めることを、汝は願いますか?
●あとがき
24節で「良い種」を蒔く「ある人」も、同じアンスロポスという単語です。
しかし原文の27節を見ると、
「ある人」というのがイエスさまご自身であることがわかります。
というのは、原文の27節には、
「ご主人様、あなたは畑に良い種を蒔いたのではありませんか」
と書かれているからです
しかし毒麦の種は、敵(人間)によって蒔かれます。
毒麦は、真のクリスチャンではない似て非なる人たちですが、
見分けはつきませんから、誰かを毒麦だと思い込んで、
教会から追い出したりしないようにしましょう。