祈りが聞かれるコツ マタイ15:25~28
有名なカナン人の女の箇所です。
ギリシャ語テキストから、この箇所のニュアンスを探ります。
マタイ15:25
「come to the rescue of/~を救助に来る」という意味です。
ギリシャ語辞典には、緊急の救助が必要な場合に使われる言葉だと説明されています。
ですから女は、「私のところに急いで助けに来てください」と頼んでいるわけです。
しかしイエスは、それを拒否します(26節)。
「子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです。」
ここでひねくれてしまうとアウトです。
ひねくれるということは、高慢であるか、短気であるか、不信仰であるか、
よほど深い心の傷があるかのいずれかでしょう。
カナン人の女は、ここでへりくだりました(27節)。
「主よ。そのとおりです。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます。」
「小犬」と「(彼らの)主人」は複数形です。
一方、「食卓」は単数形です。
このことから、イエスさまと女が描いているのは、
一家のペットである小犬たちが、食卓についた家族の周りにいて、
餌を求めている光景であることわかります。
イエスさまは、一家の子供たちの食べ物をペットにくれてしまうのはよくない、
と言っています。
イエスのミッションの第一目標ではないことを理解し、へりくだります。
自分たちをペットの小犬になぞらえ、
「おこぼれだったら、もらってもいいはずです」と、へりくだるのです。
そしてイエスは、このへりくだりを称賛します(28節)。
「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」
英語のメガの語源で、「大きい、偉大な」という意味です。
イエスさまは、「あなたの信仰は偉大です」と言っているわけです。
●文法的構造
ὦ γύναι, μεγάλη σου ἡ πίστις
ああ、女よ、 偉大ですね、 あなたの 信仰は!
また原文を見ると、「あなたの/σου」が「信仰/πίστις」前に書かれており、
「あなたの」が強調されていることがわかります。
普通、ギリシャ語では、人称代名詞は修飾している単語の後ろに来ます。
しかしここでは、「あなたの」があえて前に書かれており、
特にこのカナン人の女が称賛されていることがわかります。
言葉上は女の信仰をほめているのですが、文法的には女を称賛しているのです。
これは、イエスさまが女のへりくだった心の姿勢を特に評価していることの現れです。
●あとがき
私たちも祈りがなかなか聞かれないことを体験しますが、
ひねくれることなく、逆にへりくだって祈り続けましょう。
主は、私たちがへりくだることを願っているのです。