ステパノは混乱していたのか? 使徒7:4
この記事では、この問題について考えます。
●確認
そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、カランに住みました。そして、父の死後、神は彼をそこから今あなたがたの住んでいるこの地にお移しになりましたが、
ステパノは上記の箇所で、アブラハムは「父の死後」にカランを出て、カナンの地に移ったと言っています。
創世記11:26、32
テラは七十年生きて、アブラムとナホルとハランを生んだ。
テラの一生は二百五年であった。テラはカランで死んだ。
創世記11:32によると、アブラハムの父テラが死んだのは205歳のときです。
そして、創世記11:26をもとに、テラが死んだときのアブラハムの年齢を計算すると、
205‐70=135歳 です。
創世記12:4
アブラムは主がお告げになったとおりに出かけた。ロトも彼といっしょに出かけた。アブラムがカランを出たときは、七十五歳であった。
しかし、創世記12:4には、「アブラムがカランを出たときは、七十五歳であった」と書かれています。
こういう問題は、どう考えればいいのでしょうか?
●私見
例えば、ヨハネ9章を見ると、弟子たちがキリストに尋ねます。
「先生。彼が盲目に生まれついたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか。その両親ですか。」ヨハネ9:2
この質問は、当時のユダヤ人の宗教的理解を反映しています。
病気イコール罪の結果、という概念です。
しかし主イエスは、どちらも否定しています(同3節)。
つまり、当時のユダヤ人の宗教的理解がすべて正しかったわけではないということです。
ですから、ステパノの理解に間違いがあっても、それをもって聖書に間違いがあると主張するのはお門違いです。
彼らの説教には間違いが含まれていますが、それでも聖典に掲載されました。
彼らの説教に間違いが含まれていても、聖書に間違いがあることにならないのと同様に、 ステパノの説教に間違いがあっても、聖書に間違いがあることにはなりません。
●他の解決案
創世記11:26
テラは七十年生きて、アブラムとナホルとハランを生んだ。
しかし私は、この解決案には無理があり過ぎると思います。
創世記の記事とステパノの説教の間にあるアブラハムの年齢差は、最低で60年もあります。
また、アブラハムがテラの長子でなかったことを暗示する聖書箇所はありません。
終わり