ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

パウロは計算ミスをしたのだろうか? ガラテヤ3:17

 
 今回は、パウロの計算が間違っていると批判を受ける「聖書の現象}です。
 
聖書の現象」とは、キリスト教進歩主義やリベラルが「聖書の矛盾」だと批判する聖書箇所を言います。
 
 
問題点
 
ガラテヤ3:17 
私の言おうとすることはこうです。先に神によって結ばれた契約は、その後四百三十年たってできた律法によって取り消されたり、その約束が無効とされたりすることがないということです。
 
 
 パウロはこの箇所で、アブラハム契約とモーセ契約の期間の開きが430年だと述べています。
 
 しかし、創世記1213アブラハムが神の約束を受け取ったのは紀元前2090年頃で、

 モーセが律法を授かったのは紀元前1450年頃なので、600年余り後とすべきだというのです。
 
 430年というのは、出エジプト記によると、イスラエル人がエジプトに滞在していた期間なので、パウロの記述は間違っていると批判されます。
 

イスラエル人がエジプトに滞在していた期間は四百三十年であった。
 
 
 本当にパウロは間違ったのでしょうか?
 
 
解決案
 
 Defending Inerrancyには、次のように書かれています。

 
 パウロが述べているのは、アブラハム契約が最初に与えられたときのことではなく、

 ヤコブに対して確認があったときのことである(創世記4624

 これは1877年頃のことだ。
 
 出エジプト1447年頃のことなので(1列王記61参照)、ちょうど430年後になる。
 
 ヤコブへの確認とする根拠は、ガラテヤ317に「あらかじめ神によって確認された契約」とあるからだ(訳注)。
 
 創世記4624において、アブラハム契約がヤコブに再承認されているが、これは出エジプト430年前のことになる。
 
 
Defending Inerrancyは、ノーマン・ガイスラー博士が編集主幹を務める聖書の無誤性を主張する団体です。ガイスラー博士は「聖書の無誤性に関するシカゴ声明」の中心的編集者でもありました。
 
 
訳注
 
 欽定訳や新欽定訳のガラテヤ317は、次のように訳されています。
 
新欽定訳・ガラテヤ317
And this I say, that the law, which was four hundred and thirty years later, cannot annul the covenant that was confirmed before by God in Christ, that it should make the promise of no effect. 
 
 
 ブルーの部分は「あらかじめ神によって確認された契約」と訳されていることから、
 
 パウロは、最初に契約が与えられたときのことではなく、ヤコブに確認されたときのことを指して430年と述べているということになります。
 
「確認された」と訳されているのは、プロクルーオーというギリシャ語で、

「あらかじめ確立する、あらかじめ承認する」という意味の言葉です。

 プロ(前に)とクルーオーconfirmed/確認した)の合成語ですから、新欽定訳の翻訳は正確であることになります。

(別に日本語の聖書が誤訳しているというのではなく、訳語の選択の問題です)
 
 なお、創世記4624が「1877年頃」だという情報を確認されたい方は、以下のリンクを開いて「創世記の年代表」(英語)をご覧ください。
 

 
 
●まとめ
 
 そういうわけで、パウロは間違っていませんでした。
 
 アブラハム契約のはじめの締結から数えたのではなく、

 ヤコブに契約が引き継がれ、確認が与えられたときから数えたので、430年になるということです。
 
 終わり