黙示録11:15の第7のラッパは携挙のラッパなのか? その2
●神の国の実現の喜び
黙示録11:15~19
第七の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、天に大きな声々が起こって言った。「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配される。」
16 それから、神の御前で自分たちの座に着いている二十四人の長老たちも、地にひれ伏し、神を礼拝して、17 言った。「万物の支配者、常にいまし、昔います神である主。あなたが、その偉大な力を働かせて、王となられたことを感謝します。
18 諸国の民は怒りました。しかし、あなたの御怒りの日が来ました。死者のさばかれる時、あなたのしもべである預言者たち、聖徒たち、また小さい者も大きい者もすべてあなたの御名を恐れかしこむ者たちに報いの与えられる時、地を滅ぼす者どもの滅ぼされる時です。」19 それから、天にある、神の神殿が開かれた。神殿の中に、契約の箱が見えた。また、いなずま、声、雷鳴、地震が起こり、大きな雹が降った。
「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配される。」
日本語訳でも「ものとなった」と過去形で訳されているとおり、原文のこの部分はアオリスト過去形で書かれています。
「アオリストとは…過去の持続しない1回きりの行為・出来事を指し示している。」
つまり、第七の御使いが告げ知らせた時点で、神の国が実現したのです。
その結果、黙示録の別の箇所にも神の国の実現を示す表現が出てきます。
しかし、この11:15も神の国の実現を示しているのです。
ですから、第七の御使いはその喜びを表すために「ラッパを吹き鳴らした」わけです。
16節:「二十四人の長老たちも、地にひれ伏し…」
24人の長老は、通常は座っています(黙示録4:4)。
しかし、ここでは、神の国が実現したため、座を離れて神の前にひれ伏しました。
17節:「あなたが、その偉大な力を働かせて、王となられたことを感謝します」
この箇所の「力を働かせて」や「王となられた」と言う部分には、少し訂正が必要です。
日本語で完了を表すのは困難ですが、しいて訳せば「力を手に入れてしまった」ということです。
また、「王となられた」の部分には、起動相/inceptiveのアオリスト過去形が使われています。
なので、「統治しはじめた」と訳す必要があります。
しばしばアオリストは、行為の開始や特定の状態への突入を強調するために使われる。
The aorist tense is often used to stress the beginning of an action or the entrance
into a state.
この2点を訳出している日本語の聖書は、残念ながらありません。
英語の聖書では、両方とも訳出されています。
ESV
saying,We give thanks to you, Lord God Almighty,who is and who was,
for you have taken your great power and begun to reign.
私たちは、あなたに感謝します。全能なる神であられる主よ。今おられ、嘗ておられた方。なぜなら、あなたが大いなる力を手に入れられ、統治しはじめたからです。
このように、既にこの箇所で、神による御国の統治がはじまったのです。
言い換えると、この幻は新しい時代の始まりを描いているのであって、7年間の患難期の途中の光景ではありません。
18節:「御怒りの日」が来たと24人の長老が言っています。
ただし、原文には「日」に相当する言葉はなく、「御怒り」としか書かれていません。
それゆえ、新共同訳ではこうなっています。
新共同訳
異邦人たちは怒り狂い、あなたも怒りを現された。死者の裁かれる時が来ました。
1テサロニケ1:10
また、神が死者の中からよみがえらせなさった御子、すなわち、やがて来る御怒りから私たちを救い出してくださるイエスが天から来られるのを待ち望むようになったか、それらのことは他の人々が言い広めているのです。
1テサロニケ5:9
御怒りの時である世の終わりは、信者にとっては「報いの与えられる時」です。
しかし、キリストを信じない者たちにとっては「滅ぼされる時」です。
19節:マウンスは、「契約の箱」は、信者のための神からの報いだと述べています。
パウロは、この終わりの時をこのように描写しています。
つまり、あなたがたを苦しめる者には、報いとして苦しみを与え、苦しめられているあなたがたには、私たちとともに、報いとして安息を与えてくださることは、神にとって正しいことなのです。
そのような人々は、主の御顔の前とその御力の栄光から退けられて、永遠の滅びの刑罰を受けるのです。
その日に、主イエスは来られて、ご自分の聖徒たちによって栄光を受け、信じたすべての者の――そうです。あなたがたに対する私たちの証言は、信じられたのです。――感嘆の的となられます。2テサロニケ1:6~10
●まとめ
これまでの説明をまとめると、次のようになります。
1コリ15:52の最後のラッパ=1テサ4:16のラッパ=黙11:15の第7のラッパ
終わり