ユダヤ教における天国と地獄 by ラビ・オル・N・ローゼ その1
新約聖書の天国・地獄観につながるものとして、興味深いのではないかと思います。
何回かに分けて抄訳しようと思います。
●シェオール:地下の深い穴
著者のラビ・ローズは、次のように述べています。
聖書は概して、肉体の死が人生の終わりであることを示唆している。
シェオールとは「暗くて深い」場所であり、人間が死後にくだる「穴/the Pit」、また「忘却の地/the Land of Forgetfulness」として描かれている。
シェオールという死者の世界では、死者は未知の状態で生き続けると言われている。…
ヨブは、善人であろうと悪人であろうと、金持ちであろうと貧乏人であろうと、奴隷であろうと自由人であろうと、みなシェオールにくだると言っている(ヨブ記3:11~19)。
●神殿の崩壊と来るべき時代
来世思想の発展は、ユダヤ教の終末論の発展に伴っている。
しかし、度重なる軍事的敗北と捕囚、そして紀元70年の第二神殿の崩壊により、ユダヤ人思想家らは、早急な変化に対する希望を失いはじめる。
その代わりに、メシア的未来と死後の世界に期待を寄せることとなった。
これに伴い、朽ちる肉体と不滅の霊魂を分離するヘレニズム的概念が、ユダヤ教に取り込まれることとなる。
紀元70年の惨劇は、神学的危機をもたらした。
これにより、新たな神学的見解が生まれることとなる。
つづく