ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

ユダヤ教における天国と地獄 by ラビ・オル・N・ローゼ その2

 
 その1では、捕囚や神殿の崩壊によってユダヤ教の来世思想に変化が現れはじめ、

 ローマ帝国の侵略によって、ヘレニズム的思想との融合がはじまったところまで述べました。

 前回の最後の部分からつづけます。

 
 これにより、新たな神学的見解が生まれることとなる。
 
 ラビ・ヤアコブは、次のように教えた。


”今の世は、オラム・ハ・バ(来るべき世)に通じる控えの間に例えられる(ピルケイ・アヴォット421)。

 すなわち、義しい人はこの世で苦しむかもしれない。

 しかしその人は、次の世では間違いなく報われる。

 そして、その報いのほうがずっと素晴らしいのだ。”


 実際、ラビたちは、時には義人がこの世で苦しめられると教えている。それは義人たちの報いが次の世でそれだけ増し加わるためであると(Vayikra Rabbha 27:1)。
 

*訳注:ピルケイ・アヴォットとは、モーセ以降のラビたちによる伝承。
 ピルケイ・アヴォット421には次のようにある。妬みや情欲、名誉は、人をこの世から追い出してしまう。」
 

来るべき世とエデンの園
 
 しかし、次の世が如何なるものであるかは漠然としている。
 
 ラビたちは「オラム・ハ・バ」という言葉を使い、天的な来世、メシアの時代、また復活の時代に言及している。
 
 しかし、そのうちのどれを指しているかを知ることは、往々にして困難である。
 
 タルムード(ラビによる旧約聖書の注解集)の中で、死後の世界との関連でオラム・ハ・バについて述べる場合、
 
 往々にしてガン・エデン(エデンの園)と置き換え可能な形で使われている。
 
 つまりオラム・ハ・バは、肉体の死後に魂が住まう天的領域を指しているのである。
 
「天国」を描写するためにガン・エデンを使うことで、ラビたちは堕落以前のエデンの園で、アダムとエバが至福の状態で存在していることを示唆している。
 
 それゆえガン・エデンでは、人間の魂が肉体のない状態で存在していると一般的に考えられている。
 
 そのような状態は、メシア時代における肉体の復活までつづくと考えられている。
 
 タルムードの中に興味深い物語があり、来るべき世がほぼ確実な形で、天的な死後の世界として描写されている。
 
 その物語はラビ・ヨシュアの息子のラビ・ヨセフに関するものだが、ラビ・ヨセフは一度死んで生き返った人物である。
 
”彼の父親は「お前は何を見たのだ?」と尋ねた。すると彼(ラビ・ヨセフ)は答えた。
 
「私はこの世の向こう側にある世界を見ました。この世の最上部の人たちが、あの世では下のほうにいました。
 
 そして、この世の底辺にいる人たちが、あの世では上層部にいたのです。」”
 
 
 つづく