ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

ユダヤ教における天国と地獄 by ラビ・オル・N・ローゼ その3

 
 その2では、エデンの園を意味するガン・エデンという言葉がタルムードで使われていることを述べました。
 
 ガン・エデンは、人の魂が永遠に住まう場所と考えられています。
 
 そして、あるラビが死後に体験したガン・エデンの様子は、ルカ1619の金持ちとラザロの譬えとそっくりの内容でした。
 
               ***
 
 ユダヤ教の神秘思想「カバラ」には、生きている人の魂が体を離れ、エデンの園や他の天的世界を旅する物語が数多く収められている。
 
 中世最大の神秘思想「ゾーハル」には、ラビ・シメオン・ベン・ヨハイの神秘友愛団体のメンバーによる幽体離脱体験が数多く記されている。
 
 ほとんどの場合、幽体離脱は肉体が休眠中の夜間に起こる(事例:ゾーハル1:パーラーシャー・ヴァイェヒー 217b-218b)。 
 
 
ゲーヒンノーム:ユダヤ教の地獄

*訳注:「ゲヘナ」はゲーヒンノームのギリシャ語ゲエンナの日本語訳
 
 賢者らによると、エデンの園に直接上がるの本当に義しい魂だけである。
 
 平均的な人は、刑罰と浄化の場であるゲーヒンノームにくだる。
 
 この名称は、エルサレムのすぐ南に位置するヒノムの谷(ゲイ・ヒノム)に由来する。
 
 ヒノムの谷は、かつてカナン人が子供を生贄にした場所である(2列王記2310)。
 
 一部の者は、ゲーヒンノームは拷問と刑罰、炎と硫黄の場所だと考える。
 
 他の者は、死者が人生を振り返り、過去の過ちを悔いる場として見る。
 
 ゲーヒンノームにおける刑罰は、通常12カ月の浄化期間に限られており、

 その後はオラム・ハ・バ(来るべき世)に移される(ミシュナー・エデュヨット29、シャバット33a)。
 
 この12カ月の期限は、カッディーシュと呼ばれる死者のための祈りと嘆きの期間を反映している。
 
 この期間が終わると、極悪人以外はエデンの園に昇ることが許される。
 
 浄化期間後に魂がどうなるかについては、文献によって見解が異なる。
 
 ある者は、悪者は完全に破壊させれ、消滅させられると主張する一方他の者は永遠の呪いを受けると信じる。

マイモニデス著「ミシュネー・トーラー」、悔い改めの律法、356
 
 
●あとがき
 
 上記のとおり、ユダヤ教の天国・地獄観は、必ずしも一定していません。
 
 しかし先述したとおり、ラザロと金持ちの譬えと酷似する内容も見られます。
 
 また、神殿崩壊後から中間時代に至る神学的変遷には、興味深いものがありました。
 
 千年王国的思想が徐々に発展する様子が見られるからです。
 
 それを見る限り、新約聖書の教えは突飛なものでなく、ユダヤ人も受けれ得るものだと思いました。
 
 にもかかわらず、ユダヤ人の多くが救われないことは、やはり異邦人の完成のなる時まで彼らの心が頑なにされているのだと思いました。
 
 
ローマ11:25~26
イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、こうして、イスラエルはみな救われる、ということです。

 
 終わり

 次の動画は引用元に添付してあるもので、これまでの内容をまとめたものです。