イエスが行った7つのしるしとその意味 その1
1 カナの婚礼
イエスも、また弟子たちも、その婚礼に招かれた。
ぶどう酒がなくなったとき、母がイエスに向かって「ぶどう酒がありません。」と言った。
母は手伝いの人たちに言った。「あの方が言われることを、何でもしてあげてください。」
さて、そこには、ユダヤ人のきよめのしきたりによって、それぞれ八十リットルから百二十リットル入りの石の水がめが六つ置いてあった。
イエスは彼らに言われた。「水がめに水を満たしなさい。」彼らは水がめを縁までいっぱいにした。
イエスは彼らに言われた。「さあ、今くみなさい。そして宴会の世話役のところに持って行きなさい。」彼らは持って行った。
宴会の世話役はぶどう酒になったその水を味わってみた。それがどこから来たのか、知らなかったので、――しかし、水をくんだ手伝いの者たちは知っていた。――彼は、花婿を呼んで、言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、人々が十分飲んだころになると、悪いのを出すものだが、あなたは良いぶどう酒をよくも今まで取っておきました。」
注
1「あなたはわたしと何の関係があるのでしょう」:ヘブル語のイディオムがそのままギリシャ語に訳されている。
このイディオムの意味は2通りある。①一方が、いわれのないことで相手を煩わせた場合の応答として:
「私が何をしたというのでしょうか。あなたがこのようなことをするとは」という意味。事例:士師記11:12、2歴代誌35:21、1列王記17:18。②自分に無関係のことに関わるよう頼まれた場合の応答として:「それはあなたの問題で、私には関係のないことです」という意味。事例:2列王記3:13、ホセア14:8。ヨハネ2章の場合は②。
6つの石の瓶は、きよめのために使われたことから律法(古い契約)を象徴している。
一方、ぶどう酒は、新しい契約とその実現のために流されたイエスの血を象徴している。
さらに、背景となっている婚礼(結婚)の祝宴は、イエスとの喜びに満ちた関係を象徴している。
2 役人の息子の癒し
さて、カペナウムに病気の息子がいる王室の役人がいた。
そこで、イエスは彼に言われた。「あなたがたは、しるしと不思議を見ないかぎり、決して信じない。」
その王室の役人はイエスに言った。「主よ。どうか私の子どもが死なないうちに下って来てください。」
彼が下って行く途中2、そのしもべたちが彼に出会って、彼の息子が直ったことを告げた。
そこで子どもがよくなった時刻を彼らに尋ねると、「きのう、七時に熱がひきました。」と言った。
それで父親は、イエスが「あなたの息子は直っている。」と言われた時刻と同じであることを知った。そして彼自身と彼の家の者がみな信じた。
注
役人に関する詳細は知らされていない。
のちに、その言葉が語られた時刻に息子が癒されていたことを知ることになる。
このことは、信仰のみによる恵みの救いを象徴している。