あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい マタイ5：39
この御言葉の意味について、いろいろな参考文献の解釈をまとめて掲載します。
The Bible Background Commentary (P60)
The blow on the right cheek was the most grievous insult possible in the ancient world (apart from inflicting serious physical harm), and in many cultures was listed alongside the “eye for an eye” law, both Jewish and Roman law permitted prosecution for this offense. A prophet might endure such ill treatment (1 Kings 22:24; Is 50:6).
右の頬を打つことは、古代社会において（重篤な身体的危害を負わせることは別として）可能な限りの侮辱行為であった。右の頬を打つことは、多くの文化において「目には目を」法と並べて掲載された。ユダヤ法もローマ法も、この罪に対する訴追を認めていた。預言者は、このような不正な処遇にも忍耐することがあった（第一列王記22：24、イザヤ50：6）。
The Reformation Study Bible (P1369)
In context this means “do not seek restitution in court” The slap on the right cheek is a backhanded one―an insult as well as injury. Jesus' remarks may refer back to the words of the Servant of the Lord in Is. 50:6.
文脈においてこの箇所が意味するのは、「法的な報復を求めるな」ということである。右の頬を打つとは、バックハンド（右手の甲）による打撃ことで、侮辱であり傷害でもある。イエスの言葉は、イザヤ50：6のしもべ（メシヤの予表）の言葉に言及している可能性がある。
イザヤ50：6
打つ者に私の背中をまかせ、ひげを抜く者に私の頬をまかせ、侮辱されても、つばきをかけられても、私の顔を隠さなかった。
The Expositor’s Bible Commentary (P29)
39b～40
Four illustrations clarify Jesus’ point and drive it home. In the first, a man strikes another on the cheek―not only a painful blow, but a gross insult (cf 2Co 11:20). If a right-handed person strikes someone’s right cheek, presumably it is a slap by the back of the hand, probably considered more insulting than a slap by the open palm. Instead of seeking recompense at law under the lex talionis, Jesus’ disciples will gladly endure the insult again.
39節後半～40節
４つの事例は、イエスの云わんとすることを一貫して明らかにしている。最初にある、人が他の人の頬を打つことは、痛みを伴う殴打という意味だけでなく、あからさまな侮辱を意味する（第二コリント11：20参照）。もし右利きの人が誰かの右の頬を叩くなら、思うにそれは手の甲による殴打であり、おそらく平手打ちよりも侮辱的なものとして見なされた。「目には目を」法による法律的報復を求める代わりに、イエスの弟子は再三の侮辱にも甘んじるということである。
第二コリント11：20
事実、あなたがたは、だれかに奴隷にされても、食い尽くされても、だまされても、いばられても、顔をたたかれても、こらえているではありませんか。
●まとめ
この聖句の意味は、個人的に侮辱を受けても、法的報復に訴えることなく忍耐しなさい、ということです。この聖句はあくまでも個人の対人関係についての指針であり、いわゆる反戦主義の根拠にすることはできません。
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