エル・シャダイの意味 続編
エル・シャダイが使われている箇所
エル・シャダイという名は父祖の時代との関連で使われており、その後はほとんど使われなくなる。
使用回数
エル・シャダイは聖書中で４８回使われており、そのうちの４２回が父祖の時代に使われている。
父祖の時代以外では６回しか使われておらず、預言書で４回、詩篇で２回。
エル・シャダイの使われ方
古代社会において山々は神々の住処と考えられており、山の上に鎮座する神々の王座や主権、王権を表していた。
ヘブル語の文献では、エル・シャダイはシオンの山から統治していると考えられていた。
詩篇132:13
主はシオンを選び、それをご自分の住みかとして望まれた。
詩篇9:11
主にほめ歌を歌え、シオンに住まうその方に。国々の民にみわざを告げ知らせよ。
詩篇128:5
主はシオンからあなたを祝福される。あなたは、いのちの日の限り、エルサレムの繁栄を見よ。
神は創世記においては、多産と数多くの子孫による祝福との関連の中でエル・シャダイとして顕現している。
創世記17章で、神はエル・シャダイとして顕現し、アブラムに多くの子孫を与える契約を結んでいる。
さらに神は、多産と数多くの子孫によってアブラムを祝福すると語られた。
創世記17:1～2
アブラムが九十九歳になったとき主はアブラムに現われ、こう仰せられた。「わたしは全能の神（ｴﾙ･ｼｬﾀﾞｲ）である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。2 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」
創世記17:5～6
あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。6 わたしは、あなたの子孫をおびただしくふやし、あなたを幾つかの国民とする。あなたから、王たちが出て来よう。
その他の箇所においてエル・シャダイは、祝福をもたらす主権的な神という文脈の中で使われている。
創世記49:25
あなたを助けようとされるあなたの父の神により、また、あなたを祝福しようとされる全能者（ｼｬﾀﾞｲ）によって。その祝福は上よりの天の祝福、下に横たわる大いなる水の祝福、乳房（ｼｬｯﾄﾞ）と胎の祝福。
●ユダヤ教のラビによる解釈
神は「エル・シャダイ」という名で知られている。この名前には二つのメッセージがある。
エルという名には、強さの意味合いがある。
一方、シャダイには、（乳房を意味するヘブル語シャダイムに見られるような）神聖な流れの意味合いがある。
聖なる祝福された方は、エル・シャダイの名で知られている。
これは、境界線を設けた強さと無制限の流れという二つの意味を同時に持たせるためである。
聖なる祝福された方が最初に創造のわざを行おうとされたとき、彼は無制限に拡大し、押し広げようとされた。
しかし、創造のわざを行うためには、「十分だ！」（ヘブル語：dai）と語ることによって、制限を設ける必要があることに神は気づかれた。
祝福された方は、無限の卓越性を持つ神の力量に応じてではなく、神の臨在を受け取る者たちの力量に応じて、この世で行動しなければならなかった。
（つまり神は、人の限界を考慮した仕方で自分自身を顕現しなければならなかった。）
なぜなら人は、神の偉大さのすべてを受け入れることができないからである。
（引用終わり）
●おわりに
ちなみに、ご質問をいただきました１列王記20:23にある「山の神」という表現は、
「山」の複数形ハリムと「神」の複数形エロヒームで構成されており、
１列王記20:23
そのころ、アラムの王の家来たちは王に言った。「彼らの神々は山の神です。だから、彼らは私たちより強いのです。しかしながら、私たちが平地で彼らと戦うなら、私たちのほうがきっと彼らより強いでしょう。
終わり
