ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

現代でも、あらゆる病気を直せる? マタイ10:1

 
 この箇所から次のような説教が語られたとしたら、それは正しいでしょうか?
 
「イエスさまは、『あらゆる病気』を直す権威をクリスチャンに与えておられます。
 
 ですからどんな病気であろうと、みな癒やされるのです。

 ここにそう書かれています!」
 
 この記事では、このような解釈が正しいかどうかを確認します。 


●解説
 
マタイ10:1 
エスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊どもを制する権威をお授けになった。霊どもを追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいを直すためであった。
 
 
「権威をお授けになった」という部分は、原文ではアオリスト過去形で書かれています。
 
 アオリスト過去形というのは、過去の一定の期間になされた行為を表現するものです。
 
 ギリシャ語学者のダニエル・ウォレス博士は、こう説明しています。

 
アオリスト過去形は、(過去の)出来事の要約を示し、外側から見た全体像を提示する。この特徴は、行為が継続していることを示す現在形や未完了形とは対照的である。
                               
                               (引用終わり)
 
 ウォレス博士の説明に基づいて上記の箇所を考えると、
 
「権威を授ける」という行為が今現在も継続していることは保証されてませんから、
 
 1節だけを根拠にして、
 
「あらゆる病気」を直す権威が現代のクリスチャンにあると断言することはできません。
 
 1節以降の文脈を見て、判断する必要があるということです。
 
 
●文脈
 
マタイ10:5~6 
エスは、この十二人を遣わし、そのとき彼らにこう命じられた。「異邦人の道に行ってはいけません。サマリヤ人の町にはいってはいけません。イスラエルの家の滅びた羊のところに行きなさい。
 
 
 十二弟子に出された命令が現代にも有効であるか否かについては、
 
 5節から6節の内容が判断材料になります。
 
「異邦人の道に行ってはいけません」「サマリヤ人の町にいってはいけません」
 
 これらの禁止命令は、
 
 マタイ28:19やマルコ16:15、使徒1:8などの大宣教命令によって改訂されました。
 
 
マタイ28:19 それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい
 
マルコ16:15 全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい
 
使徒1:8 
しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレムユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。
 
 
 このように、異邦人やサマリヤ人のところに行くなという命令は、
 
 十二弟子特有の内容で、私たち現代のクリスチャンには無効です。
 
 同様に「あらゆる病気」を癒やす権威も、十二弟子に限定された権威でした。
 
 それが証拠に、著名な癒しの器が日本で奉仕しても、
 
「あらゆる病気」が直ったことは一度もありません。
 
 
まとめ
 
 信仰によってすべての病人を癒やすことができるという教えは、聖書の曲解です。
 
 聖書はそういうことは教えていませんので、間違わないように注意しましょう。