ダビデの日記

自分が学んだ聖書の教えに関するブログ

クムラン遺跡の発掘が七十人訳の正確さを証明

 
  趣向をを変えて、最近の記事とは少し違うことを書きました。

 クムラン遺跡の発掘は、七十人訳の翻訳が正確であったことの証明につながりました。
 
 アンサーズ・イン・ジェネシスの記事から抄訳します。
 
 
 死海文書は、聖書の信頼性に関するもう一つの問題にも光を当てた。
 
 新約聖書は、ヘブル語聖書よりも、七十人訳と呼ばれる旧約聖書ギリシャ語訳からより多く引用している。
 
 一部の学者は、七十人訳はオリジナルのヘブル語を正しく訳していないのではないかと疑問を持っていた。
 
 しかし、クムラン遺跡で発掘された写本の一部は、別のヘブル語テキスト七十人訳の元になっていることを証言している
 
 このことは、七十人訳が当時、実在していたヘブル語本文を忠実に訳したものであることを裏付けている。
 
 これらの考古学的発見は、翻訳版聖書の歴史や価値の研究に向けて、新たな機会を切り開いている。
                               (強調はブログ主)
 
 
●説明
 
 お気づきの方も多いと思いますが、ヘブル語聖書の訳語と七十人訳の訳語は、しばしば食い違っています。
 
 一例として、過去記事で取り上げた次のケースがあります。
 
 ヘブル語聖書の2サムエル記834には、 騎兵700と書かれています。
 
2サムエル8:3
ダビデは、ツォバの王レホブの子ハダデエゼルが、ユーフラテス川流域にその勢力を回復しようと出て来たとき、彼を打った。ダビデは、彼から騎兵千七百、歩兵二万を取った。ダビデは、その戦車全部の馬の足の筋を切った。ただし、戦車の馬百頭を残した。
 
 しかし、NIV(七十人訳)の2サムエル記には「騎兵7000」と書かれています。
 
2サムエル記834・NIV
David captured a thousand of his chariots, seven thousand charioteers and twenty thousand foot soldiers. He hamstrung all but a hundred of the chariot horses. 
 
 
 この理由は、NIVがヘブル語聖書からではなく、七十人訳の2サムエル記834から翻訳したからです。
 
 言い換えると、七十人訳の2サムエル記834は、ヘブル語旧約聖書の2サムエル記8:3~4と食い違っているわけです(下記を参照)。
 
 
καὶ προκατελβετο Δαυιδ τν ατοῦ χλια ρματα 
そして  まず取った     ダビデは      彼の   千の   戦車    
 
κα  ἑπτὰ  χιλιδας  ππων 
と   7     千の      騎兵
 
καὶ εκοσι χιλιδας  νδρν πεζν
と   20      千の     男たち   歩兵
 
 

☆ ☆ ☆

 
 クムラン遺跡で死海写本が見つかったことにより、七十人訳の底本になっていたヘブル語聖書の写本が見つかり、

 七十人訳がその写本とおり、正確に訳していたことが証明されました。
 
 つまり、ヘブル語聖書の底本が、もともと2種類あったということです。
 
 食い違いの原因は、現在の旧約聖書に使われている底本と、七十人訳の底本が別だったからです。
 
 七十人訳は、誤訳していなかったということです。
 
 新約聖書中の引用箇所と、旧約聖書の訳語が時々食い違っていますが、

 それは旧約聖書の写本が2種類あったからで、七十人訳の翻訳が間違っていたからではないのです。
 
 別の過去記事で、2テモテ316の「聖書」は、七十人訳を指していると述べましたが、

 七十人訳の正確さが証明されたことで、2テモテ316の「聖書」を七十人訳と解釈すべきである根拠がますます強まったことになります。
 
 言い換えると、神の霊感は、既に失われてしまっている聖書の原典だけでなく、七十人訳(翻訳版聖書)にもしっかり働いているということです。
 
 これが何を意味するかと言うと、
 
 神の霊は、聖書の原典の執筆の時だけに働いたのではなく、写本や翻訳による聖書真理の保存や継承の作業にも働いていることが立証されたのです。
 
 つまり、考古学的発見により、聖書の信頼性がますます強まったということです。
 
 終わり